華-ハナ-
川越さんのその言葉に、胸が熱くなり……


目からは涙がポロポロと溢れてきた。



川越さんが温かい人だということは、何回か会って話していくうちに、身に染みて感じていた。


でも、実際こうやって、あたしの存在をこんな風に認めてくれるなんて、思いもしなかった。


今までお父さんにもお母さんにも触れたことがなかったから。


だけどほんとは……


お母さんは、川越さんを愛していたから、命をかけてまであたしを産んでくれた。


川越さんは、お母さんのことを愛してるから、28年経っても探し続けていた。



あたしの見えないところで、二人は深く愛し合っていた。



そんな二人から……


あたしは生まれてきた。





あたし……


愛されて生まれてきたんだ……





今はそう深く実感できる。
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