華-ハナ-
「また、パパのことを思い出したの?」


「うん」



蒼太にはすべてお見通しだね。



「パパが生きてた頃の蒼太はね、いつもイタズラばかりしていたのよ」


「え?」



今頭の中で回想していたシーンをそのまま口に出してみると、蒼太は眉間に皺を寄せながら……それでも耳を傾けていた。



「クリスマスの日、夕飯を作ろうとしたら、蒼太はクリスマスツリーの飾りを引っ張って、ツリーごと倒しそうになっちゃったの」



あの時は優華がお腹の中にいて、あたしも疲れやすかった。


その頃の蒼太は、ほんとに悪さばかりしていて……



「結局、夕飯の準備ができなくて、クリスマスなのにファミレスへ食べに行ったんだよ」



蒼太は苦笑いしながらも、ちゃんと聞いてくれている。
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