華-ハナ-
「大丈夫……また、思い出しちゃった」



舜を見上げながら言うと、そこにはやっぱりやさしい笑顔があって……



「思い出せばいいよ。そうやって、蒼太と優華に伝えてやればいい」


「しゅ……」



舜のその言葉に、胸が熱くなる。


舜はどんなときでも、あたしのことを一番に考えてくれる。



「ありがと……」



舜の腕に手を添えながら言う。


ふと、目を潤ませながらこちらに耳を傾けているお父さんが、視界に入ってきた。



「ごめんね」



その表情を見ていたら、自然とこの言葉が出てきた。



「どうして謝るの?」


「お父さんには、……お母さんのことを何も話してあげられない」



蒼太や優華には、たっぷり話すことがあるのに……
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