華-ハナ-
高校卒業してからだから……


指折り数えてみて……



「そうだね、九年だね。早いなぁ」


「須藤は……って、もう須藤じゃねぇのか」


「うん、そうだね。でも、須藤でいいよ」


「ん……ほんとはなんだっけ?……藤本だっけ?」


「……」



そっか。


葉山くんは、知らないんだ。



「須藤?」



知らぬ間に顔を歪めていて……



「あーっ!葉山くん、何絢華のことを泣かせてんのよ!?」



えっ…


あたし泣いてないけど。


顔を歪めただけなんだけど。



「いや、泣かせたつもりは全くねぇんだけど。須藤、俺気に障ること言った?」


「ううん、葉山くんは知らないんだもんね。優太は、亡くなったんだ。もうすぐ七年になる」



目頭が熱くなってきた。



「えっ」
< 35 / 247 >

この作品をシェア

pagetop