華-ハナ-
その名刺を見ると……




(株)川越建設

代表取締役
  川越弘志(ヒロシ)




川越?


知らない。


誰?


この会社の住所も三つほど県をまたいだ場所。


そんなに遠くから来たの?


それに……


何でいまさら、お母さん?


わからない。



「あの」



声を絞りだして話し掛ける。



「はい?」


「どうして、あたしに聞いたんですか?この間も」


「あなたが、びっくりするくらい華に似ていたので。もしかしたら知っているかと」



“華”


親しくないと……


そうは呼ばない。


どんな関係?


恋人には、若すぎる。



「須藤華は、……あたしの母です」


「やっぱり」



川越さんはびっくりすることなく、ほっとしたような笑みを浮かべた。
< 50 / 247 >

この作品をシェア

pagetop