華-ﾊﾅ-

「知らなかったんだ。華の実家の場所を。……突然会社を辞めて、アパートも引き払ってて……」


「……」


「華に、お母さんに会わせてほしい」


「……」



この人……


お母さんが亡くなったことを、知らない？


どうしよう。


この人、信用できる？



「どうしてですか？」


「何が？」


「どうして、いまさらあなたが母を探してるんですか？正直いって、信用しかねます」



お母さんに確認できないから、信じていいものか……


わからない。



「あの頃、俺はまだ高校生だったんだ」


「えっ！？」


「華の娘だという君にこんなことを言うのは、正直照れるんだけど……、俺は華のことが好きだった」


「えっ！？」


「いや、……今でも、好きな気持ちに変わりはない」



驚いたなんてものじゃない。