華-ハナ-
なんて返せばいいのかわからないくらい、頭の中が混乱してきた。


つまり川越さんのお父さんが経営する会社に、お母さんが勤めていて……


川越さんはお母さんに、想いを寄せていた。


ううん、今でも寄せている。



「あの頃の俺は、子供だった。華の行方を探す方法がわからなかったんだ」



そう言って、川越さんは頭を抱えた。



「俺、華のことは、名前と年とあとは……体が弱くて、薬を飲んでいたってことくらいしか、知らなかったんだ」


「あの」


「はい?」


「もし、その当時高校生だったとしても、もうずいぶん経ちますよね?」



何で“今”なのかわからない。



「そうだな。でも、華に対する情報が少なすぎた」



お母さんの情報?
< 54 / 247 >

この作品をシェア

pagetop