華-ハナ-
こんなにあたしのことを支えてくれてる舜を……


こんなにあたしのことを愛してくれてる舜を……


あたしが今、心から愛してる人を……


こんなにも傷付けていたなんて。



「舜、……ごめんね。……あたし、舜のこと、頼りないとか、思ったことないよ。あたしには舜が必要だし、舜がいない生活は考えられない。ほんとに心から愛してる」



そう言うと、舜はあたしをぎゅっと抱き締めてきた。


舜にも、ちゃんと話さなきゃって……


ちゃんと聞いてもらわなきゃって……


そう思った。



「舜には、お母さんはもともと体が弱くて、あたしの命と引き替えに亡くなったって、言ったよね?」


「ん」


「あたしね、お母さんのことを、何も知らないの。それ以外は何も」


「絢華?」
< 58 / 247 >

この作品をシェア

pagetop