華-ハナ-
.


「あけましておめでとうございます!」



そう言いながら、リビングのドアを開けた。



中から「おめでとう」の声と同時に、お母さんが走ってきた。



「待ってたのよー」


「お母さん、どうしたの?」


「お父さんと誠相手にしていても、味気なくて。花がないのよっ!」


「あはは、お母さん、花ならあるよ!」


「どこに?」


「ほら、ここに!」



そう言って、お母さんの手を握る。



「まっ、絢華ちゃんったら!」



ふふ、こういう明るいお母さんが、あたしは大好き。


ふと、視線を横にずらすと……


圭介はおじいちゃんに抱かれていて、蒼太と優華は誠くんとゲームをし始めた。


なんかいいなぁ……


こういう光景。




優太とあたしが求めていた……



『幸せな家族』



優太……


あなたはもういないけれど……


でも……


あたし達の夢が叶ったよ。
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