華-ハナ-
「マジ?」



舜が目を見開く。



「うん」



何だかあの当時を思い出して、凄く恥ずかしくなってしまった。



「すげぇ、……俺、優太さんに会ってみたかったな」



いつも思うけれど、舜って凄く前向きだよね。


普通はこんなふうには思えないんじゃないの?



「……あたしも、会いたい」


「えっ」


「あ、ごめん」



優太とのことを思い出していたら、ついポロッと……


本音が出てしまった。


でも舜は、そんなあたしの頭を撫でながら、



「いや、いいよ。そんな幸せな思い出があったら、会いたくもなるよな」



なんて、優しいことを言うから……


目からほろりと涙がこぼれた。



「舜は、優しすぎるよ」


「そんなことないって。この間も言ったけど、俺普通に嫉妬もするし。昔の話なのに、久美さんのところへ行かせたくねぇって思うし」
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