いじめを越えて
え?


な…

「どうして、そんなこと言うのよぉ!何にも知らない癖に‼」


「うん、そうだね。きっと何も知らない」


「じゃあ、ほっといてよ!」

「私ね、中学の時彼氏死んじゃったの。だからほっとけないの」

理恵ちゃん?


「彼ね、病気にかかっちゃって。肺炎になってそのまま死んじゃったの」

理恵ちゃんの目には涙が溢れてきて


「もう、いいよ、理恵ちゃ…」

理恵ちゃんがぎゅーと私の手を握る

「逃げちゃだめだよ?
忘れられちゃったら、もうその人は居なかったことになっちゃうんだよ?
私はそんなの嫌だよ?
だから私は直人を忘れない
毎日、思い出を思い出してる
直人を思い出してる」


うん。そっか

「直人くんは幸せだね…けど私はそんなに強くないよ?」

そっと理恵ちゃんの手を離す

私は、自己中で


きっと自分しか考えられないのかな?







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