本当は大切な人だった ~巻き戻したい恋が僕にはある~
未踏の地にて
 僕は今、関東の夜空をボンヤリと眺めている・・・・

 キラキラと煌めく星。煌めきを失った星。僕はベランダに一人、ただそれを眺めている。
 

 九州生まれの九州育ちにとってここは見知らぬ街。

 会社という名の組織に打ちのめされ、追い込まれ、僕は今、広い夜空の下、ここに一人なのである。 

 時折、西の方角の空に顔を向けるが、連なった山々が邪魔をして、遠くを望むことさえ出来ない。

 途切れた暗い空に嫁さんの顔が見えた。煌めく星がまるで笑みの瞳のようで、僕は情けなくなって俯くことしか出来なかった・・・
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