羽をくれた君~side陸~【完】
翌日、現場が街中だったので、俺は昼休憩の時にアクセサリーショップへ行った。
雑誌に載っていたネックレスが、照明に照らされて煌々と輝いている。
やはり値段は5万円だった。
「そちらの商品今人気ですよ」
顔を上げると女性店員がニコニコしている。
「彼女さんへのプレゼントですか?」
「・・・まぁ」
素っ気ない態度で返すと、店員はガラスケースの中からネックレスを取り出した。
「お値段はちょっと高めですけど、モデルのMIUがデザインした新作ですし、お客様の年代の方にも人気なんです」
モデルのMIUとかってやつは知らんが、確かに悪くね―な。
あいつにやったら目を丸くして驚くだろう。
それを思い浮かべると可笑しくなった。
ちょっと見に来ただけのつもりだったが・・・
俺はいつのまにか銀行で5万円を下していた。
なんかこんなの俺らしくもね―な。
でもあいつが喜んだ顔、ちょっと見てぇなって思ってしまった。
ネックレスのチェーンを他のものと変えてもらうように言うと、取り寄せになるから受け取りまで1週間ほどかかると言われた。