羽をくれた君~side陸~【完】
「あ・・・あのあたし・・・」
表情よくは見えなかったが、奈緒もかなり動揺している。
困惑した表情を、他の男の前でも見せてると思うと胸糞が悪くなった。
「奈緒ちゃん、陸じゃなくて・・俺と・・・」
「「陸じゃなくて俺と・・」なに?」
奴らの前に出ていかないつもりだったが、自然と声を発していた。
2人はとっさに離れ、物凄く驚いた表情で俺を見る。
「陸・・」
「・・・こんなとこで何やってんのかと思えば・・なに広樹、こいつのこと好きなの?」
広樹は悪戯を見つかってしまった子供のような目をしていた。
きっと俺を裏切ってしまったという罪悪感でいっぱいなんだろう。
お前の考えている事なんてわかる。
何年ダチやってると思ってんだよ。
しかし次の瞬間、鋭い目つきに変わった。
「・・好きだって・・言ったら・・?」
こいつ・・・本気か?
顔が今までにないくらい真剣だった。
こんな広樹は見た事ない。