羽をくれた君~side陸~【完】
警察の事情聴取を受けに行った奈緒を、俺は警察署の門の所で待っていた。
一時間が経とうとしている。
亮と栞には先に帰ってもらった。
あいつらがいてくれて本当に助かった。
あいつらが俺を動かしてくれた。
感謝してもしきれねぇ。
くそ親父がこの先どうなんのかしらねぇが、二度と奈緒の前に現れない様にしてやる。
奈緒は今までどれほど我慢してきたんだろうか。
・・・いつから?
あいつはあんな恐い思いをしてきたのに俺はこの前・・・あのくそ親父と同じような事を奈緒にしてしまった。
俺はあのくそ野郎と同類だ。
イラついて煙草の本数が増える。
その時、奈緒が署の中から出てきて、俺の姿を見つけるなり、走ってくる。
久しぶりに単車に奈緒を乗せた。
もうこいつを乗せる事なんてないんじゃないかと思っていたが。
奈緒はぎこちなさそうに俺にしがみついた。