羽をくれた君~side陸~【完】
「あ・・・こんなのすぐ消えるよ」
奈緒が言い終わるのと同時に、俺は痣の部分をなぞるようにキスを落とした。
「アザは消えても、お前ん中であいつにされた事はずっと消えねーだろ」
「・・・消えるよ」
「え?」
「陸さんさえいればあんな事忘れられる。だってずっとそうだったもん。
陸さんに会うまで、毎日が暗くて嫌で嫌でどうしようもなかったの。
死にたいとも思ってた・・・でも陸さんと出会って、付き合って・・・毎日が輝いてた。
毎日が陸さんでいっぱいだったの・・・
だからあいつのことも忘れられてた。本当だよ・・・!?」
「おまえは・・・なんでそうまっすぐなんだよ?」
俺は・・・こいつのこういう所に惹かれた。
素直に真っすぐぶつかってきてくれる所に。
どんなに酷い事をしてもこんな俺を信じると。
お前といると固まった心が解けていくような感じがするよ。
だからこいつに聞いてもらいたいと思った。
俺の事を・・・
百合の事を。