モノクロ
バスで山道を移動していた私たち家族。
近くに座っていたおばさんと話していた記憶がある。
あめ玉やチョコレートなどを貰った。幼い私には宝物のように思えた。

「よかったなぁ」

そう言ってお父さんはごつごつした大きな手で私を撫でてくれた。その感覚が私は大好きだった。
その日のお父さんは紫色の服だった。

「おいしーい?」

ふわり、と笑顔がかわいいお母さんはいつも私を包み込んでくれた。その日も私はお母さんの膝の上で甘えていた。
その日のお母さんは白とピンクのふわふわした服だった。
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