いつだって。
彼は私の頬を、優しく温かい手で撫でながら言う。
『…だからさ、別れなきゃかなって思った。こんなオジサンといたら、きっと、真莉の人生、苦しめる。』
眉を寄せながら、ちょっと肩をすくめたハルさん。
なにいってんだこの人は。
わたしには もう とっくの昔から、
あなたしかいないのに。
文句を言おうとした私の口に
彼の人差し指が触れる。
『 それでもね、それでもだよ。
俺はさ、お前を離したくないんだよ。 』
ごめんな、独占欲強えーんだきっと。
そう自嘲気味に笑う彼の顔は、哀しいほどにきれいだった。
『これからいろんな場所連れてくのも、いろんな世界見せるのも、ほら、前に言ってた あそこの海見にいくのも、俺が行くの嫌がってたあのカフェだっていい。
全部、ぜんぶぜんぶさ、
真莉の隣には、いつだって俺が居ないと嫌なんだ。』