となりの猫村くん

正直言うと、猫村くんの事は一年の時から知っていた。


入学早々彼の耳に光っていたピアス。
先輩にも同級生にも怖いものなしで常に堂々としていた姿。
そして誰もが知っている、天才剣道部レギュラー……。

逆に知らない人の方が少ない彼は女子からの憧れの的で、めっちゃモテるわファン多いわ告白する人多いわで…男の子にあまり関心がない私の耳にも入って来た。

……告白を断られた、との噂も。


泣いていた。

告白はすごく勇気と想いが必要で、『Yes』か『No』の二択によってその後の運命が決まる。
嬉しくて泣いてる人も悲しくて泣いてる人も居て、コレのおかげで、幸せを得た人の数だけ涙を流す人の数は比例するのだと知れた。


それともう一つ、人気者な人達にとっての告白は日常のたった一つであること。


猫村くんみたくクールな人は尚更そうなのかもしれない。告白に費やす時間は無駄に過ぎなくて告白して来た子の顔も次の日には忘れている。

断るときですら笑顔を見せずにいつもの無愛想な顔色で『悪いけど』と、たった一言で済ませるのだ。

きっと……彼女とかもたくさん出来てるんだろうな。…もしかすると今も居るかもしれない。

私みたいに地味な子じゃなくて、誰が見ても可愛いと感じるような容姿を持った女の子。
結局は顔なんだろうな…イケメンさん達なんて。

一年前にも聞いたことがある、『顔がタイプじゃないから』『可愛い奴なんて居ない』と。

確かにだれにでもタイプあるし、可愛いの基準だって違う。考えがバラバラなのは当たり前だ。けど、それが私には怖い。
その理由で影で悪口言って、見た目で判断して中をみようとしない。



「男の子なんて……っ」


男の子は怖い。

その中でも一番それに該当する猫村くんみたいな男の子が、私は苦手かつ怖いのだ。
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