となりの猫村くん
私は頷いて渋々歩き出す。
途中に落ちてないかと足元を見ながら行くがやっぱりどこにも落ちていない。
結局見つからないままわたしは教室へと着いてしまった。
「じゃな海陽」
「海陽ちゃん元気出して!見つかるって」
「うんっ、ありがとね」
二人に手を振り私は自分の席がある一番後ろの窓側へと向かって椅子に座る。
どこに行ったんだろ…リュック。こんなことになるなら、猫村くんの追跡なんてしなければ良かった……
後から来た壮大な後悔により、わたしは机へ頭を下げる。
「中村」
その時、聞いたことのある低い声が頭上で響いた。