END
平凡
二時間。
私が彼女を待った時間だ。
既に私はアイスティを飲み欲し、
追加でオーダーしたホットコーヒーを飲み終えてしまう。
相談したいと頼んできたのは彼女の方なのに
私は一体何をしにここへ来たのだろうか。
彼女と待ち合わせをする場所は、毎回同じ。
コーヒーの香り、コーヒーメーカーの蒸気の音。
気を基調にしたモダンな内装に、お洒落な洋楽が流れる店内。
スコーンやマフィン、クッキー、ホットサンドのいい香り。
見ているだけでも幸せな気分になれる。
というか、カフェで過ごす自分に酔っているだけかもしれないが。
だけど、私はがこのカフェを愛しているのは事実。
この空間は私が唯一安らげる場所なのだ。
勿論ベッドも好きだけれど、それはまた別の意味で。
窓の外を見ているとの何人もの人間が行き来しているのがみえる。
携帯で話しているサラリーマンは険しい顔。
三人組の若い子は笑顔が絶えない。
この年代の子は蟻が歩いているだけで笑う。
どんなことでもおかしいのだろう。
私にもそんな時代があったなと、懐かしく思いながら
既に冷たくなっていた元ホットコーヒーを飲みほした。
そしてシガレットケースからタバコを取り出し、
火を点け、大きく煙を吸い込み、ため息を吐き出す様に肺から煙を吐き出した。
それから三度目のオーダーをした後、漸く彼女が到着した。
第一声目は解っている。
「ごめん!途中でナンパされて振りきれなくてさあ」
思った通りだった。