TRIP

幼い頃から私は誤る事が苦手だった。

ごめんなさい。

それは身近な人になればなる程困難だった。

彼氏、友達にならどんな些細な事でも謝る事ができたのに
家族になるとどうしてもできなかった。

特に父には。

リストカットもその頃だったと思う。
何度も何度も見える位置の手首を切り刻んで、
自分の血を見て欲しくて、
身体に出来た私の心の傷を知って欲しくて。


しかし、父どころか母すら気づいてはくれなかった。

今思えば、そりゃそうだ。

いじめられていた事は誰にも言っていないから。
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