ラピスラズリの恋人

しばらくして運ばれて来たカクテルグラスを手に、敢えて悪戯な笑みを浮かべて見せた。


「とりあえず、奇妙な出会いに乾杯でもしようか。そんな出会い方を演出したのは、俺だけどね」


その選択は間違っていなかったらしく、悲しげな顔をしていた瑠花が小さく笑う。


初めて自分だけに向けられたその表情に、胸の奥が甘く締め付けられる。


それを隠すように笑みを繕って乾杯をし、お互いに二杯目のカクテルに口を付けている時、瑠花が疑問を口にした。


「あたし達、どこかで会った事がありますか？」


「ないと思うよ」


すかさずそう答えたけど、瑠花がそんな疑問を口にするのは当たり前だと思った。