ラピスラズリの恋人
疼く胸を隠して『謝るのは俺の方だよ』と口にすると、瑠花が小首を傾げた。


「初対面の他人の結婚話に突然口を挟むなんて、不躾にも程があるだろ?」


その直後、彼女は首を横に振った。


向けられた優しさが温かいのに、こんな時に自分よりも他人(オレ)を気遣う瑠花を抱き締めたくなった。


「でも……」


抱いた衝動も隠し、ゆっくりと続きを紡ぐ。


「放っておけなかったんだ」


瑠花を真っ直ぐ見据え、言葉に出来ない様々な想いにもどかしさを感じながらも彼女の頬に触れた。


抱き締める事は出来ないから、せめてその悲しみをほんの少しだけでも癒したい。


だから…


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