ラピスラズリの恋人
「瑠花」


優しく呼び捨てにした名前が合図だったかのように、抱いた事の無い気持ちが込み上げて来る。


「本気で好きになった相手を手に入れたいと思うのは、ごく当たり前の事で……。その為に真実を知るのが恐くなるのも、どんな手を使ってでも手に入れたくなる事も、別にずるいって訳じゃない。でも……」


それが何なのかはわからないまま、まるで自分自身にも言い聞かせるような言葉を紡いだ。


「しなくてもいい我慢をして手に入れたものは、きっと簡単に壊れてしまう……」


それは、今の瑠花よりも若かった自分(オレ)が経験した事…。


そして、そんな俺を救ってくれた彼女。


だからこそ…


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