ラピスラズリの恋人
「瑠花の我慢が、二人の未来の為のものなら良かったのかもしれない。だけど、身勝手な彼のせいで君だけが傷付いていけば、いつかは瑠花の心が壊れていたと思うよ……」


瑠花には、そんな思いをして欲しくは無かった。


我慢や傷を重ねなければいけない相手なら、いっそ俺が手に入れてしまいたい。


俯いて泣いている瑠花を見つめながら、そんな身勝手な事を考えた。


そんな時に通り掛かった店員に頼んだのは、キール。


“最高のめぐり逢い”と言う言葉を持つそれは、瑠花を初めて見た日、つまり俺が両親と向き合えた日に一緒に飲んだ物。


その時、父は『お前を養子として迎えた日にも飲んだんだ』と言っていた。


< 22 / 100 >

この作品をシェア

pagetop