ラピスラズリの恋人
運ばれて来たキールを瑠花の前に置くと、彼女はゆっくりと顔を上げた。


「キールだよ」


そう告げて、出来るだけの微笑みを浮かべる。


「君の選択は正しかった。だからきっと、君は幸せになれるよ」


幸せになって欲しい。


出来る事なら、俺が幸せにしたい。


だから…


瑠花の涙に濡れた夜が、俺達にとっては“最高のめぐり逢い”であるようにと願いを込めて、キールを彼女に勧めた。


瑠花は震える唇をグラスに付け、それを一気に飲み干した。


アルコールの力と泣き疲れたせいか、それからしばらくして眠ってしまった彼女をそっと抱き抱え、フロントで上の部屋を取った――…。


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