ラピスラズリの恋人
目が覚める頃には、その心に刻まれた傷が少しでも癒えていれば良い。


簡単に癒える傷じゃない事はわかっているけど、そう思わずにはいられなかった。


そんな事を考えているうちに感じた切なさの理由に気付いて、さっき抱いた感情の正体を理解した。


温かくて、柔らかくて、胸の奥が甘く締め付けられる。


これが“愛おしさ”なんだと気付いた直後、あどけなさを残した表情で眠る瑠花への想いが溢れ出して…


その心ごと奪ってしまいたいと、本気で思った。


瑠花が幸せになれるのなら、誰の傍にいようと構わなかった。


だけど…


この感情を知った今、きっともうそんな風には思えない。


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