ラピスラズリの恋人
瑠花の左手をそっと握って、彼女の心の傷に繋がる薬指を見つめた。


「瑠花」


大切な二文字を、噛み締めるようにゆっくりと紡ぐ。


「どうすれば君の傷が癒えるのかな」


疑問を含んだ言葉が、静かな部屋に落ちた。


いつか俺だけを想ってくれる日が来れば良いのに、なんて身勝手な事を考えた自分を叱責した。


瑠花の寝顔を見つめ、自分がしようとしている事に気付いて思い止(トド)まる。


だけど、躊躇ったのはほんの一瞬だけ。


その直後には、今度ここに嵌められるリングは自分(オレ)が選んだ物であるようにと願いを込め、握っていた左手の細い薬指にそっと唇を落とした――。


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