ラピスラズリの恋人
「……ん。……理人さん?」


「え?」


「どうかしましたか?」


どうやら“瑠花が俺と出会った日”の事を思い出していたせいで、彼女の話が全く耳に入って来ていなかったらしい。


テーブルの向かい側に座る瑠花が、不思議そうに首を傾げている。


「ごめん、少し思い出に浸ってた」


小さな笑みを浮かべると、彼女は益々キョトンとした。


「思い出、ですか?」


「うん。俺と瑠花が出会った時の事を思い出してたんだ。……そういえば、俺達があのホテルのラウンジで出会ったのって、ちょうど去年の今頃だったね」


俺の言葉で顔を綻ばせた瑠花は、幸せそうな笑みを見せて頷いた。


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