ラピスラズリの恋人
先に玄関を出ようとした瑠花の腕を引っ張り、華奢な体を抱き寄せる。


「……理人さん?」


彼女は不思議そうな声で俺を呼びながらも、抵抗をしたりはしない。


「少しだけ充電させて。ここを出たら、しばらく会えないし」


腕の中にいる瑠花が、俺の背中に怖ず怖ずと腕を回す。


「寂しいですか?」


「当たり前だよ。……瑠花は寂しくないの?」


「寂しいですよ、すごく。でも『離れたくない』なんてワガママ言ったら、理人さんは困るでしょう?」


「瑠花が言わなくても、俺が言うかもしれないよ」


冗談めかして笑った瑠花に同じように返し、二人で顔を見合わせて微笑んだ。


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