ラピスラズリの恋人
「俺がいない間、部屋に来ててもイイよ」


「え?」


「せっかく合鍵渡したのに、まだ一回も使ってくれてないし」


実はクリスマスに合鍵を渡したけど、瑠花はまだ一度も使っていない。


遠慮もあるだろうけど、ドアマンの目も気になるんだろう。


俺としては、仕事が終わって帰って来た家に瑠花がいてくれたら、最高なんだけど…。


「嫌ですよ」


瑠花は反芻(ハンスウ)するように視線を伏せた後、切なげに微笑んだ。


「理人さんがいないのにここに来たら、余計に寂しくなるじゃないですか」


拗ねたような表情を見せた彼女のせいで、益々離れ難(ガタ)くなってしまう。


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