ラピスラズリの恋人
「あの、理人さん……。遅れますよ?」


未だに腕の中に閉じ込めたままの瑠花が、少しだけ困ったように微笑んでいる。


「……そうだね」


小さな笑みを返してキスをした後、名残惜しさを掻き消して家を出た。


「飛行機の時間、大丈夫ですか?」


「平気だよ」


心配そうにしていた瑠花は、俺の言葉でホッとしたように笑った。


今日から三日間、俺は相模(サガミ)や数名の社員を引き連れて、海外に行く事になっている。


いくら仕事が好きでも、新年早々の海外出張には気乗りしないけど…


新事業のエーデルシュタインウェディングの為、どうしても避ける事は出来ない。


< 34 / 100 >

この作品をシェア

pagetop