ラピスラズリの恋人
「帰ったら一番に電話するよ」


「待ってます。行ってらっしゃい」


「瑠花も行ってらっしゃい」


お互いに笑みを浮かべ、瑠花がドアを開けた。


「あの、理人さん」


「ん?」


「理人さんを見送りたいので、あたしがドアを閉めたら行って下さいね?」


瑠花が会社に入るのを見届けようと思っていたのに、彼女に先手を打たれて頷くしか無くなってしまう。


「わかった」


「じゃあ、また」


「うん」


柔らかい笑みを残した瑠花が車から下りた後、後ろ髪を引かれる思いでアクセルを踏み込む。


ルームミラーに映る彼女に、自然と笑みが零れた。


< 37 / 100 >

この作品をシェア

pagetop