ラピスラズリの恋人
ほとんど眠れないまま迎えた翌朝、俺の心とは裏腹に晴れ渡った空はあまりにも爽やかだった。


「おはようございます、専務」


律儀に部屋まで声を掛けに来てくれた相模は、今日もきっちりとスーツを着熟(キコナ)していて、最後までこの国には不釣り合いだったと苦笑する。


「あぁ、おはよう」


「朝食はどうされますか?」


「その辺で適当に食べるよ」


「わかりました。では、空港でお待ちしています」


相模は俺の荷物を受け取ると、頭を下げて立ち去った。


正直、俺は今すぐにでも帰国したい。


だけど…


そんなワガママが叶う訳も無く、ため息混じりにホテルを後にした。


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