ラピスラズリの恋人
「お祝いのつもり、だったんです……」


「え?」


「ささやかだけど、今日はお祝いがしたくて……」


華美な料理では無かったけど、瑠花が時間を掛けて用意してくれたのは見て取れた。


彼女が何を思い、そして何を祝いたかったのか。


それを訊くまでも無く答えを導き出す事が出来たのは、自分(オレ)も同じ事を考えていたから…。


ただ、瑠花からその言葉が出て来るなんて思ってもみなかったから、つい言葉を失い掛けてしまった。


「うん、俺も同じ事を考えてたよ」


「え?」


俺を見上げた瑠花が、大きな瞳を瞬(シバタ)く。


その表情が可愛くて、思わず瞼にキスを落とした。


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