ラピスラズリの恋人
たった一輪の花で、とても幸せそうに笑う。


そんな瑠花の事がまた愛おしくなって、やっぱりこの腕の中にずっと閉じ込めておきたいと思う。


「これ、てっきりお土産かと思ってました」


「瑠花が今日の事を忘れてたら、そうするつもりだったよ」


「忘れるなんて、そんな……。でも……お祝いって事を言ってもイイものなのかどうかが、わからなくて……。だって、今日は理人さんと出会った日だけど……」


「わかってるよ」


躊躇いながら言葉を紡ぐ瑠花を遮って、彼女の不安を取り除くように柔らかく微笑んで見せる。


俺は、優しい瑠花が考えているであろう事を予測した上で、ここに帰って来たのだから…。


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