ラピスラズリの恋人
「俺にとっては、瑠花に自分(オレ)の事を知って貰えた幸せな日だけど、瑠花にとってはそれだけじゃないからね……」


未だに不安げに瞳を揺らす瑠花を、真っ直ぐ見つめる。


「だから、瑠花が今日の事を覚えていても“記念日”にはしたくないかもしれないと考えたし、もしそうじゃなかったとしても瑠花の事だから俺を気遣かって言い出せないかもしれない」


「理人さん……」


この日を祝うと言う事は、きっと必然的にあの別れをも思い出す事になる。


瑠花は優し過ぎるから、自分が彼の事を思い出す事に多少なりとも罪悪感を抱き、そして俺に対しては遠慮と申し訳なさを感じる事になるだろう。


だけど…


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