ラピスラズリの恋人
子供みたいに拗ねた表情を向けて来る瑠花は、本気で恥ずかしいらしい。


プロポーズをした時にも強引に一緒にお風呂に入ったけど、それ以来彼女がこれを承諾してくれたのは初めての事。


もっとも、正式には“承諾してくれた”のでは無く、恥ずかしがって嫌がる瑠花を言い包めたのだけど…。


「でも、ほら……この入浴剤は、瑠花と一緒に楽しむ為にグアムで買って来た物だし」


彼女が本気で怒っていないのは、ちゃんとわかっている。


ついからかいたくなるのを我慢し、いつものように笑う。


「それに、濁ってるから体は見えないよ」


乳黄色のお湯を掬って見せれば、瑠花は何か言いたげに俺を見つめながらも、諦めたように苦笑を零した。


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