ラピスラズリの恋人
「瑠花」


瑠花の頬をそっと撫で、柔らかく微笑んで見せる。


「別に俺はすごくないよ。将来的に貴島の名前を背負う覚悟を決めた以外は、与えられてばかりだからね」


「そんな事……。理人さんはすごいですよ」


自分の居場所も、今の地位も、貴島から与えられたもの。


「もちろん、祖父や両親が期待してくれているのはわかっているし、それ以上に仕事で応えるつもりだよ」


「はい」


「でもね、瑠花……」


瑠花の体を優しく抱き締め、しっかりと言葉を紡ぐ。


「その為には、瑠花が必要なんだ」


もう、あの時のようにすれ違ってしまわないように、どんな些細な事でも言葉にしようと決めたから…。


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