ラピスラズリの恋人
「今のままの肩書きだったとしても、エーデルシュタインの副社長になったとしても、貴島理人には荻原瑠花が必要なんだよ」


僅かに不安を覗かせていた瞳が、うっすらと涙を浮かべる。


「仕事にかまけて傍にいてあげられない時もきっとあるだろうけど、俺の心の中にはいつだって瑠花がいるから」


我ながら歯の浮くような台詞だと思うけど、これが素直な気持ちなのだから仕方ない。


「……はい。あたしの心の中にも、いつだって理人さんがいます」


「うん」


裸の唇にキスを落とし、ゆっくりと離れる。


こんな自分は瑠花以外には見せられないけど、幸せそうに笑う彼女を見ると意外と悪くない、なんて思ってしまった――…。


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