ブルーと副総統
SIDE ブルー3
「おつかれさまでーす」
俺は、そういいながら控え室に入っていった。
映画が無事公開されて、満員御礼挨拶になぜか俺も呼ばれたからだ。
あれから、副総統とは個人的に言葉を交わすチャンスがなかった。朝帰りしたあと、仲間達からは裏切るのか?と詰め寄られ、ピンクからは『敵方の女と寝るとか下半身のみなのね』と嗤われた。
正直、そんなことを仲間から言われたことに気持ちが冷えたけど、それより彼女が何も言ってこないことに対して呆けていた。ただ、敵方に彼女がいるって言うことは半端な仕事をしたら愛想をつかされる…それだけでちゃんと仕事は熱心にした。
大体、裏切るって決めたとしても、彼女の連絡先なんかまったくわからなかったし、やっつけた悪の組織のやつらからも聞き出せなかったし。
あれから、自分が出演しているものを見たりとかチェックしたりとかする気力がわかなかったので、今回の映画も大ヒットしてるって言われてもぴんと来なかった。
席に座って段取りを聞いていよいよ出番を待っていたら、脚本家の横○美智子先生がニコニコしながらやってきた。
「ブルー。元気ないわね~」
「あーなんかやっぱ疲れちゃいまして」
「今回の映画はブルーが大活躍なのに、元気出しなさいよ」
そう言って先生に背中をバーンとどつかれた。
…。
……。
え、俺が大活躍!?
そんな表情をしたのがわかったんだろう。先生が、あなた全然映画見てないのね。そうため息交じりに苦笑して教えてくれた。
「今回の映画の見所はね、恋に落ちたブルーと副総統が引き裂かれながらも、お互いの信じる道を突き通すために闘っていくって言うエピソードなのよ。そこに来年のヒーロー達が絡んできてってお話に仕上げたわけよ。かなり切ないエピソード満載だったから、私もノリノリで編集できたわー。おかげでファミリー層だけじゃなくて、腐女子やら普通の女の子達やらが何度もリピーターと化してくれていてね。コレだけのお客様が大喜びしてくれたし、来年のヒーローたちのファンも相当できたと思うわ。本当にありがとね」
先生は、落ち着いたら絶対観てよ! かなり珠玉の出来なんだから。そういって笑って舞台袖に送り出してくれた。
なんとなくやっと、その時に周りを見る余裕が出来たんだけど、そういやレッドもブラックもいない。ヒーローも悪の組織も、来年のヒーローチームも誰もいない。
ステージの真ん中には二つのピンスポットが寄り添うように当てられている。
向こうから、サーモンピンクのドレスを着た小柄な女がゆっくりと歩いてくる。
俺は精一杯、クールを装ってゆっくりとそこに向かって歩いていった。
俺は、そういいながら控え室に入っていった。
映画が無事公開されて、満員御礼挨拶になぜか俺も呼ばれたからだ。
あれから、副総統とは個人的に言葉を交わすチャンスがなかった。朝帰りしたあと、仲間達からは裏切るのか?と詰め寄られ、ピンクからは『敵方の女と寝るとか下半身のみなのね』と嗤われた。
正直、そんなことを仲間から言われたことに気持ちが冷えたけど、それより彼女が何も言ってこないことに対して呆けていた。ただ、敵方に彼女がいるって言うことは半端な仕事をしたら愛想をつかされる…それだけでちゃんと仕事は熱心にした。
大体、裏切るって決めたとしても、彼女の連絡先なんかまったくわからなかったし、やっつけた悪の組織のやつらからも聞き出せなかったし。
あれから、自分が出演しているものを見たりとかチェックしたりとかする気力がわかなかったので、今回の映画も大ヒットしてるって言われてもぴんと来なかった。
席に座って段取りを聞いていよいよ出番を待っていたら、脚本家の横○美智子先生がニコニコしながらやってきた。
「ブルー。元気ないわね~」
「あーなんかやっぱ疲れちゃいまして」
「今回の映画はブルーが大活躍なのに、元気出しなさいよ」
そう言って先生に背中をバーンとどつかれた。
…。
……。
え、俺が大活躍!?
そんな表情をしたのがわかったんだろう。先生が、あなた全然映画見てないのね。そうため息交じりに苦笑して教えてくれた。
「今回の映画の見所はね、恋に落ちたブルーと副総統が引き裂かれながらも、お互いの信じる道を突き通すために闘っていくって言うエピソードなのよ。そこに来年のヒーロー達が絡んできてってお話に仕上げたわけよ。かなり切ないエピソード満載だったから、私もノリノリで編集できたわー。おかげでファミリー層だけじゃなくて、腐女子やら普通の女の子達やらが何度もリピーターと化してくれていてね。コレだけのお客様が大喜びしてくれたし、来年のヒーローたちのファンも相当できたと思うわ。本当にありがとね」
先生は、落ち着いたら絶対観てよ! かなり珠玉の出来なんだから。そういって笑って舞台袖に送り出してくれた。
なんとなくやっと、その時に周りを見る余裕が出来たんだけど、そういやレッドもブラックもいない。ヒーローも悪の組織も、来年のヒーローチームも誰もいない。
ステージの真ん中には二つのピンスポットが寄り添うように当てられている。
向こうから、サーモンピンクのドレスを着た小柄な女がゆっくりと歩いてくる。
俺は精一杯、クールを装ってゆっくりとそこに向かって歩いていった。