ただひとつ。Side Story
たまたま偶然だった。



ビールを買いに、スーパーを訪れた時……



何だか見覚えのある後ろ姿を見つけたんだ。




迷いに迷って……



結局俺は声もかけられず、背を向けたその時……




「…和志!」




不意に…名前を呼ばれた。




忘れかけていた、その懐かしい声…。



振り返るとそこに、




加藤の……満面の笑顔があった。




「…加藤。」




「…あははっ、もう『加藤』じゃないよ。」


「…そうなんだ。結婚したの?」


「…うん。」


「…そっかあ。お前、全然かわんねーな!髪型くらい?」


「失礼だなあ、相変わらず。てか、和志なんて髪型すら変わってないじゃん。すぐ分かったよ!」


「…中身は違うぞ。もうガキじゃねー。」


「……そうかなあ…?」





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