ただひとつ。Side Story
俺の視線に誘われるかのように…



大地と健も、ヤツの方に顔を向ける。




「………ん?」



こいつは……


どうやら自分の話になっていることに気づいていない。




「…もしもし、トーコ。それ、マジ?初耳なんだけど。」



『マジマジ大マジ!な~んか妙に颯太くんからメール来てるからさあ、らしくないと思って聞いたら……。もう5か月になるって!』




「マジ…?」





そういえば……




最近…、煙草もやめた。



確かに携帯ばっか見てソワソワしてると思ったら………。





「…透子。俺らも早くつくろーな。」



『何よ、急に……』



「…だって悔しいじゃん?ま~たアイツにしてやられたよ。」



『………?よくわかんないけど…。』



「わかんなくていーんだ。でも…早く帰ってこいよ。」



『……うん、明日には帰るね?』


「朝な。」




『…起きれないし。』


「起きれるだろ~?」



『……努力する。』


「よし、じゃあ…待ってるから。いい情報サンキュー。…ひよりとまこによろしくな。」



『ん、じゃあね。お休み~。』




…ピッ……





「さて…と。」




「…ん?」



なおもにこにこと笑い続ける颯太。




ほんっっと、お前だけには敵わねーなあ……。




「報告っっ!なんと、青山ひよりがご懐妊なさっているそーでーす!!」





「…は?」



「…マジ?」



「…げっ。披露宴のサプライズにしよーと思ってたのに…。」





「…順序が違うだろーよ、颯太くん?」



俺は何だか楽しくなって、ヤツをからかいにはいった。




「…お前と違って俺はその辺要領よくやってんだよ!」




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