ただひとつ。Side Story
足が……




地面に張り付いたかのように…動かない。





なぜ、今君に……





再び出会うのだろう。





彼女が姿を消したその後も…、



俺はただ雨に打たれながら……




ずっとそこから動けずにいた。




「…はやちゃん?」


俺の名前を呼ぶ声に、ふと我に返る。



「え…。」



何で…、どうして涙が出る?


「……カミオくん。俺……。……俺、守れなかったんだ…。けど、何で……どうしてここに…?」



必死に握りしめていた拳が……震えていた。




「落ち着けって。しっかりしろ!」




何だよ、これ。


誰か…


助けて。



「……ごめ……。」





見上げた空が……



泣いている。





中学3年の春雷の日。




これが……




君との再会だった。






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