ただひとつ。Side Story
「…あった?」
「あったあった。7組!…お前は?」
「2組。」
「うおっ、えらく離れたなあ…。せいせいする。」
高校、入学式……
玄関先に張り出されたクラス分けの名簿を…
青山颯太と奥山和志は食い入るようにして見ていた。
「健と楓、お前と同じクラスじゃん。」
「マジ?」
「…アレ?……俺は誰と一緒だ?」
大きな字を前にして、何故か身を乗り出しているのは和志である。
「…どれどれ?」
つられて颯太も、名前の列にじっくりと目をやった。
「…………。」
彼が女子の名簿に差し掛かった時……
一人の生徒の名前に目が止まった。
「…つーか、2人しか同中いねーし!」
「……。かわいそーに。」
「…まあ何とでもなるか。」
「そりゃそうだな。」