ただひとつ。Side Story
変に納得した様子で、和志はウンウンと頷いた。




「つーか、かわい~のいるかなあ…。」



「…お前…そればっかじゃん!」



「だって何の為にこの高校入ったと思ってんだ?」



「しらねーよ。」


「…かわい~女子が多いと評判だからだろーよ!」



「あ~、そ。」



颯太は半ば飽きれぎみに、さっさと先を急いだ。





「教室遠くね?」



『…確かに…。』




長い廊下を歩くにつれて、真新しい制服がなんだか息苦しく感じていた。
颯太は首元を締め付けるネクタイを少しだけ緩めて…、
また、和志と二人、くだらない話に花を咲かせる。





「颯太っ、和志~!」


突然…、背中を強く叩かれる。



「おっはよ~!」



にっこり笑って、二人に腕を絡めてきたのは…、中学の同級生である、『楓』だ。



「颯太また同じクラスだねえ~。」



「そーみたいだな。」



「…嬉しい?」





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