恋に恋して恋をする。
「こんなの踏めないよ……」


私は片足立ちのまま鞄を拾おうとして、また転びそうになった。


あぁ……やっぱドンくさ過ぎるね。


「だから足乗せなって言ったのに」


間一髪、また奏くんに腕を支えてもらう。


「ごめん……」


「はい、どうぞ」


奏くんは私の右足の側に靴を置いてくれた。


また転ばないように右手をエスコートするみたいに握ってくれた。


「ありがとう」


胸がドキドキしてる。


こんなにドキドキするのは、奏くんが優しくしてくれるからなのかな?


またシチュエーションに酔ってるからかな?


わからない―――


けど、一つだけ言えることがある。

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