恋に恋して恋をする。
「……いや、別にそこまで思ってないけど」


「え?」


「てか、俺のこと王子様みたいに見えたんだ?」


“王子様”のところが半笑いだった。


かぁーっと頭に血が昇る。


「そ、れはっ!例えばの話で!主旨はそうじゃなくって」


「ごめんごめん。小島さんがお姫様ってのが主旨だもんね」


「もー!違う!」


奏くんと繋いでた手をほどいてぶんぶん振り回した。


奏くんは手で顔をガードしながら、子どもみたいに無邪気に笑った。




その笑顔を見て、ふと思った。


あぁ……私、奏くんの笑った顔、好きだな。
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