君と私。
「まぁ、用事があるの私じゃないから、私はこれで。」
私はそう言い、加奈子を木下くんの方へ押した。
「…ここじゃあ人結構いるし、屋上いこうか、加奈子」
木下くんは落ちついた声でそういい、加奈子の意見を聞かさず、加奈子の手を握って歩いていってしまった。
それを見届けた私は満足げに笑って、教室に戻ろうとした時、
「なーんか、あの二人喧嘩多いよね〜」
と言う可愛いらしい声が横から聞こえた。
隣を見ると、そこには亜希が遠ざかってゆく二人を眺めながら言う。
「んー、まぁねー
けどあれでも続いてるし、いいんじゃない?
まぁ、じゃあね、亜希」
教室と戻ろうとして振り向いたら、
「葵。」
後ろから、甘く、低い声に名前を呼ばれた。